4月定例会のご案内

定例会を開催します。

日時: 平成28年4月18日(月) 11:00~
場所: 神奈川県民活動サポートセンター 12階
内容: ロンドン視察帰国報告など

参加申し込みは不要ですが、初めて参加される方は下記あてにご一報ください。
info@gajumaru-leaf.jp

Diagnostic Overshadowing

まだ、相当する日本語がない単語。日本で紹介するのはこれが初めてかもしれません。誤診diagnostic errorの一種であるのかもしれませんが、 使う場面はLD(Learning Disabilities 知的障害の意)や精神疾患の患者さんの診療場面に限定されています。

覆い隠されてしまう診断という状況が起こるのは何故か。

コミュニケーションが取れないから、

症状を訴えてこないから、

検査に協力してくれなかったから、

たどり着けなかった診断、治療するチャンスを逸してしまった病気。LDの人たちの健康の大きな課題のひとつを現しているキーワードでしょう。

イギリスのRCGP本部でのミーティングで当たり前のようにこの用語を使ってLD者の医療上の不利を伝えていました。正しい診断を覆い隠すから、覆診?影になるから影診?そのまま、「オーバーシャドーされてしまった症例。」でもいいかもしれません。

最初に使ったのは1982年アメリカで発表された論文のようです。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7102729?dopt=Abstract

Diagnostic overshadowing refers to the negative bias impacting a clinician’s judgment regarding co-occurring disorders in individuals who have intellectual disabilities or other mental illness.

これからこの言葉とともに、LD医療の課題と対策が日本中に浸透していくようにと願います。

「問題行動を見たらまず体の病気を疑う。」というセオリー

今までできていたことができなくなる。

特にきっかけもないのに、パニックを起こす。

そんなとき、何を考えますか?

「知的障害があるのだから、能力の低下が見られたときは40代で認知症が始まったと考えるべきです。」

「行動の異常はむつかしいが、とりあえず生活環境・人間関係をまず見直す。」

知的障害のある人を良く知る医者なら上の答え、支援者なら下の答えをするかもしれません。

これは私が知り合いから聞いた実際のお話(個人を特定できない程度には脚色してあります)

40代のGH入居中の男性。朝、職員さんと同じコースの散歩をするのが日課だった。ある時から、坂の途中で座り込んでしまうようになった。はげましたり、少し休んだりするとまた歩ける。でも、散歩に出かけるとまた同じ場所でしゃがんで動かなくなる。何か気になることがあるのかもしれないから散歩コースを変えた方がいいのかもしれない、いやもしかして一緒についていく支援者を変えた方がいいのでは、など「考えられるだけのこと」はやってみたそうです。

それでも途中でしゃがみこむことは続きましたが、5分程度で又歩き出すので支援者も慣れていってしまいました。

そうしている冬のある日、散歩中に胸を抑えてうずくまり顔面蒼白、冷や汗をかいて30分以上も動けなくなったために、救急車を要請する事態になりました。

救命病院での診断は、広範囲の心筋梗塞。

心臓の筋肉を栄養する大事な冠動脈が三本とも狭くなってしまっていました。それまで健康診断で、高血圧や脂質代謝異常、高血糖などが指摘されていたのに、積極的に生活改善などせず病院にもかからず(血圧もコレステロールもそれ自体では症状はありませんからね)放置されていたことと、それまで何度もしゃがみこんだ症状を考え合わせると、一つの病態がきれいに浮かび上がります。

つまり、生活習慣病が集積した状態で何年も過ごしてきたために、動脈硬化が進行していた。冠動脈で進行した動脈硬化性の病変は、心臓の酸素供給量を不足させ、動いた時にそれが顕著になるいわゆる「労作性狭心症」を散歩の時に一定の負荷が心臓にかかった時に繰り返し、そしてとうとう冠動脈が閉塞するイベントが起こってしまった。

内科医が話を聞いたら、すぐに浮かぶ診断名だったかもしれません。

でもそれを支援者の人が判断できなくてもこれは致し方のないことです。支援者にこれを現場で判断できるほどの医学的知識を持て、というのはちょっと違うとおもいます。

問題は、行動の異常があった時にまず「体の異常ではないか」という発想がなかったこと。心理的精神的なところに答えを求める以外する習慣がなかったことではないでしょうか。もしくは、健康診断の指摘された異常を丁寧にフォローし生活習慣の介入や異常を相談できるようなかかりつけ医に恵まれていなかったという状況もあったかもしれません。どれも、LDの健康管理の上では必要であるにもかかわらず十分だと言い難いものばかりでしょうか。

今回の視察でも、「話ができない人を診断するのはとても困難ですが、どうしたらいいでしょう?」、と何かヒントでもいただけたらいいなと聞いてみました。

すると、頭書の言葉が、当たり前のように返ってきました。

「おかしいと思ったら、まず、病気を疑います。そして、ヒントとなるのはそれまでその人が受けた定期的な健診です。」

それまで、私が考えていたことと同じでした。

日本ではだれに言っても、非常に反応が薄く、「病気を疑うなんて、考えてもみなかった。変なことを言うな~。行動の異常のことなんだから、内科医の出る幕じゃないでしょ?」的な目で見られていましたが、同じことを国も職業も違う人たちの口からきけたのは、とても驚きましたし、ちょっとばかり感動もしました。

視点の転換。

治せるものから最初に疑う。

たとえば、作業が出来なくなった大人を見て、まず疑うのは認知症ではなく

「視力の障害?たとえば白内障とか」

「日本人で多い甲状腺の異常?」

「40代の女性だったら、たとえば頻度の高い鉄欠乏性貧血?更年期?」

「もしかして、病気が隠れていないかしら」そう思える人がいろんな立場で増えてくれれば、助けられる命も増えるはず。

そう思います。

こういった例も、他にいくつかありますので、また後程。

たとえば・・・逆流性食道炎 便秘 夜間無呼吸発作症候群・・・どれもとてもポピュラーな疾患です。知的障害の人にも同じように起こりうる(むしろ疾患の罹患率は高い)という認識があれば正診率が上がることが期待できます。

 

 

「ヘルスチェック」健康診断をLD者に勧めるということ(LDは知的障害の意です)

今回のイギリス視察の目的に一つが、現地でのLDの人たちがどの程度健康診断(いわゆる日本で行われる健康診断や人間ドッグはイギリスにはありませんのでちょっと違います。かかりつけの家庭医で行われる定期的な診察と検査、という感じですね)を受けられているのかどうか。
最終的には、日本においてLDの人が健常の人と同様に健康診断、さらにはドッグも受けられるように整備していくのがいいだろうと、そういった意図がこの研究班にあったようです。

ようです、、、という言い方になるのは、健康診断を受けるとそれが健康寿命の延長に通じるのかどうかはまた別の問題と考えて検証を進めなくてはいけないと、思うからです。
今、成人のLDの人が、とても十分に健康診断を受けているとは言えない状況であり、むしろ健康弱者である彼らにこそ、検査を受ける機会が与えられるべきだというのは間違いアリマセン。
そしてそのために、病院側のサポートも、予算も、必要なのだから、いそがしいとか、お金がないなどという言い訳も、認めていただきたくないとも思っています。
が、それで、健康面の支援は終了、ではありません。
そして、それによって本当に健康寿命の延長が得られるのかどうか、それをきちんと評価するシステムの構築も同時に必要だと思います。
健診受診率が増える=健康寿命が延びる。
たぶんそうでしょう。でも本当に?
たとえば、肺がん検診。
受けた人と受けなかった人とを比較したところ、受けた人の方が肺がんでの死亡が多かったという、ちょっとマイナーな研究報告を読んだことがあります。かーなーり前です。出典もお示しできなくてすみません・・。つまり、肺がん検診で正常だったといわれたばっかりに、咳が続く、血痰が出る、などのサインに対して、早急に受診するという行動につながりにくかったと、推察されていました。そういうことがあるかも。それが医療の現場です。

たとえば、循環器内科医ならだれでも知っている有名な、CAST study。コレを読んだ時の衝撃は忘れません。
The Cardiac Arrhythmia Suppression Trial (CAST) Investigators. Preliminary report : effect of encainide and flecainide on mortality in a randomized trial of arrhythmia suppression after myocardial infarction. N Engl J Med. 1989 ; 321 (6) : 406-12.

この試験は心室性不整脈のある心筋梗塞後の患者さんを対象として1980年代に行われ,イベント後に抗不整脈薬投与群とプラセボ群とを比較しました。当時最も強力で新しい抗不整脈薬であったフレカイニドやエンカイニドなどのIc群抗不整脈薬は見事にすべての不整脈を抑制しました。心筋梗塞後の患者さんの生命予後は不整脈のある人ほど悪いという自自うが既にあったのですから、当然不整脈を抑えれば予後は改善する、そう期待しての研究デザインでした。ですが、期待とは裏腹に,長期的(1年)にはIc群抗不整脈薬が投与されみごとに不整脈を抑えられた群では,プラセボ群と比べ死亡率が増加してしまうという衝撃的な結果がもたらされました。

悪いものを取り除けば治療終わり!は、間違いだった!!
悪いものを取り除けばよくなるはずだという、常識的な予想は医学では成り立たないこともあると思い知らされたのです。

(LDの子の問題行動を減らしさえすれば、どのような手段であろうとも、その子の社会的予後は改善されるはずだ、は間違いかもしれないと考えなくてはいけない、ということにもなるかもしれません。)

つまり糖尿病ならば、HbA1cをおとすことを目標にしてはいけないということです。たとえ血糖値が改善したとしても、その結果健康寿命が延長したかどうか、そこまでの結果が求められるようになったのです。

LD医療についてもそれは必要な視点です。
みんなで頑張ったからいいよ、受けられてよかったよかった、で終わらせたくない。そう思います。
養護学校など、障がい者を取り囲む世界でありがちな、「結果じゃなくて、頑張ったことが一番大事」という思考。
医学には絶対にそれは許されないのだと、どこかで言わなくてはいけないのではないか。それを検証する機関を同時に用意していかないといけないのではないか。
いまから、そんなことを考えてしまっています。
・・・そのまえに、まず、健診を受けられるようにしていきましょうねそうですね。症状を訴えられない方にとって定期的なチェックは絶対に必要です。それは、健常者にとってよりももしかしたら重要な意味を持つ場面がある、そう思います。

その話はまたいずれ。

グレートオーモンドストリート小児病院GOSH

2016.03.22

ここでお会いしたのはJim Blair氏。知的障害専門看護師、看護コンサルタント。今年7月Jim氏は侑愛会法人50周年記念の記念セミナ0において「知的障害看護師の専門性』のテーマで講演なさるそうです。スペシャルオリンピックスのヨーロッパ・ユーラシア地区クリニカルディレクターも務め受賞歴も多数。The Guardianにも取り上げられています。熱い文書です。http://www.theguardian.com/society/2012/feb/14/jim-blair-nurse-people-learning-disabilities
ちなみに★learning-disabilitiesといいますと日本では学習障害、のことですが、Ukでは知的障害者、をさすのだそうです。(初めて知った)

実際お会いしてみるとまあアグレッシブ。院内見学させていただいたんですけど、廊下で会う人にメッサ声かけて、初めてあったらしいLDのお子さんのお母さんには自分のメルアドを渡してたし、QQ隊の人とも、親友状態、院内の彼のコーディネート力が垣間見れたような。おもに毛か手術での中での支援を見せていただきましたが、初めの問診票にLDがあるかどうかのチェック項目があり、それにチェックするとPCに🚩がつく。で、導入の時からプレイセラピストがいたり、スヌーズレンのキラキラするおもちゃがでーんと置いてあったり、マカトンのビデオ流したり。すごいのはすべてのスタッフがその研究を受けていて、何故そういったことが有効なのかを知っていること。理想的な対応の方法のひとつって感じです。

また、LDの方の保護者や支援者に、Hospital Passport を渡して活用してもらうようにしていると、紹介してくださいました。

自宅でその人が医療受診するときに必要な事柄を記入して、受診時に持っていき、病院側に渡す。帰るときにはまた返してもらい、逐次アップデートしていきます。そうして受診時に想定されるトラブルをできるだけ減らしてアクセスを改善してくためのツールです。A4見開きの冊子でページが色分けされています。

Redのページには:絶対に知らなくてはいけないこと。担当のGP,飲んでいる薬、既往歴、コミュニケーション方法、絶対にやってはいけないこと、など。

yellowのページには:大切なこと。詳しいコミュニケーション方法、痛みの訴え方、ADLどれくらいか。

Greenページには:好きなこと嫌いなこと。

Blueページには:一番最近のエルスチェックの結果、役に立つサイトの紹介など。

以下のGOSHのサイトからダウンロードできます。

http://www.gosh.nhs.uk/parents-and-visitors/clinical-support-services/services-and-facilities-children-and-young-people-learning-disabilities

 

GOSHにはLDで手術が必要だけども、いろいろと対応などの面で困難な症例の子が世界中から集まっているというのも頷けます。

JimさんはGOSHには週に3日のこりは、他の病院の査察とかコンサルトなどもなさっています。

話の中で驚いたのは、イギリスのナースには四つの資格があり、①general NS②childNS③mental health NS ④LD NS……知的障害者のためのナースという資格があるんですと!人数は5000人ほどで最近削減されているらしいですが、地域のコミュニティーの中で健康増進のため働く場があるということ、逆に日本に何故ないのだと不思議がられました。。。(ノ_・。)

そのなかでもJimさんはイギリスで唯一の「コンサルタントナース」という立場を勝ち取った方。ある時、外傷で来院した知的障害者の手術に手間取ったせいで、他のオペが多数キャンセルになり、多額の損失が出たという件があり、それを解消するために必要だと訴えたどうです。やはり病院はいくら国営とは言え、損失を訴えると動くのは同じですねー。

それと、LDのための医療を進める根拠として、一日に3人ものLDの人が亡くなられている、これは避けられる死であると繰り返し訴えられていました。そのデータの出所は確かめられませんでしたが、インパクティブな数字ですよね。

ばらばら書きましたが、本当に、おあいできてよかった方でした。

 

 

NAS 英国自閉症協会

20160321NASP1000137

2016.03.21。

ロンドン南部&サリー州にある、NASの成人&コミュニティーサービス。で、統括マネージャーとお会いしました。
自閉症の人の健康管理と医療と福祉の連携についての視察を依頼していました。
NASはイギリス最大の自閉症支援団体。学校や施設の運営、自治体への専門的コンサルタント、調査研究、自閉症法の設立など政治的活動もリードしています。とにかく、多くのスタッフがじっくり一人一人に係わり、つねに研修し、当事者中心の支援をやり遂げるために、各館系期間に対して積極的に意見し時には研修などもして社会を整えて行くという存在のようです。その個別性はさすがの一言。両面でもその態度は一貫していて、必要であればGP(家庭医。イギリスでは一人のGP登録してまずはどのような病気でもそこにかかるという制度です。)にとも調整して難しい検査を受けられるようにしたり調整していくというので、頼もしい。そういう姿勢を貫いてきたという組織だからこその、医療支援の充実した形があったです。一般化できるかどうかと考えると、ちょっとあれですけども。

ともあれ、自閉症の親にとってはいろいろな意味でシンボリックなイギリス自閉症協会、訪問できて光栄でした💓

Resarch in Developmental Disabilities

The impact of health checks for people with ID

IDってintellectual disabilities つまり知的障害を指してます。LDともいうようですけど。

イギリスで発表されたID者の健康チェックの実態調査から、それを進める論理的な根拠に至るいろーんな、報告がまとめられています。すごい量。

イントロからhealth inequalities (健康格差)とかavoidable death(避けられた死) とかunrecognized health needsとか、そういった単語が沢山。そういった現状をデータで示してる報告集、でもあります。

日本ではあの「不平等な命」にあたるものがこれほど。問題視されているというだけでも羨ましい。こういったものを根拠にして、政策とか学会とかに働きかけていけますしね。

ご紹介でした。

・・・・・どなたか和訳してください・・・・

 

 

イギリス版”受診サポート手帳”

おはようございます。

基礎英語力のなさに今更驚いている高木です。いまからスピードラーニングを買おうかなっ(無駄ね!やっぱりね!)

イギリス視察の事前の資料集めでこんなものを紹介されました。

知的障害者(Learnig Disabilities・・というと日本では学習障害ですが、UKでは知的障害のことを指すのだそうです。びっくり。)の医療受診をスムースにするためのツール。外来で医者が問診するときやほかの病院スタッフが対応するときに知っておいた方がいい事項がまとめて書けるようになっているもので、すごく見やすいです。見やすさは大事。三種類添付します。

自治体で作ったものと、大学病院が作ったもの。実際に使えているのか知りたいところですが、こういうのが診療時に有効だというのは間違いなさそうですね。

999 card

Essex_Health_Action_Plan_(April_2015)1

hospital passport mar 2014 V3

・・もしかしてこれって、ライブラリにあげた方がいいのかしら?

未だに使い勝手が分からなくてすみません。これに対してコメントはつけられないんでしたよね?

でもご意見聞きたいなあ。

 

 

 

ナなんか緊張します・・初めての投稿・・そもそも・・

そもそも私ががじゅまるに関わる理由は、長~い間抱えていた疑問が始まりです。7歳の時に夏なら即死という交通事故にあい担ぎ込まれたのが精神病院でした。田舎で病院らしきものはそこだけでした。起き上がれるようになってその病院の玄関に向かうと、たくさんの子供がいて、誰を待っているのと聞くと「お母さん」といいます。女の人が玄関に現れるたびにざわざわと色めき立ちます。そのうちの1人は何足ものスリッパを丁寧に2列に並べていました。夜8時になるとその場で全員眠るための注射をされました。あの子たちはどうして入院しているのだろうと心に引っかかりました。3年生になって夏にクラスの男の子が1人急に新しく出来たあすなろ教室(特別支援)に移動になりました。少し変わっていましたが、虫にはとても詳しくて頭が良いんだなと感じていたのに移動が腑に落ちませんでした。このふたつのことから、あの子どもたちはどこでどうしているのだろうとずっと気にかかったままでした。がじゅまるに参加できたのはこの2つの疑問の答えを見つける糸口だったと思います。

歯科クリニックの筆談コーナー

先日のこと。

歯が痛むので歯医者に駆け込みました。

その際、受付にあった筆談コーナーです。

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筆談したい方への医療現場での配慮は少しずつ進んできていますが、受付の隣にこんな風にさりげなく、でもきちんと利用者の立場にたって場所を整えてくださっていると、ああ、ことばがうまく喋れなくても受診していいんだな、とホッとしますね。

老眼鏡もセットされていましたよ♪